がん休眠療法治療成績

2010年1月

がん休眠療法治療成績

第6回日本腫瘍学会学学術集会(2009年11月15日:東京)にて『がん休眠療法で治療消失領域を埋める』の題目で当院開院から2年間に行った休眠療法の治療成績を講演させて頂きました。簡単に掲載します。

幅広い年齢層に提供できているのが分かります。
最高年齢は90歳。高齢を理由に、標準抗がん剤治療ができない、もう治療が無い、といわれた患者さんでも、使用抗がん剤の少ない休眠療法なら、まだ癌と闘えます。

休眠療法導入理由を見てみます。
これ以上治療が無い、あるいは抗がん剤治療の副作用のためにこれ以上治療ができない、あるいはやりたくないといった理由が導入理由全体の8割を占めます。「治療内容を理解した上で希望」という患者さんも、当院の連携医療機関から「こんな治療法(休眠療法のこと)もあるよ。話だけでも聞いて見ない?」とご紹介頂いた方々が殆どで、元もと標準治療が徐々にやりにくくなってきている背景因子を有しています。
そうなると、当院で治療を受けている患者さんの殆どは、なんらかの理由で標準治療ができない、やりたくない、あるいはできなくなってきた方々です。

標準治療がなくなったから、やれなくなったからといっても、それは治療の終わりではありません。
休眠療法ならまだまだがんと闘えます。


治療効果判定はRECIST(Response evaluation criteria in solid tumor)という一般的な固形がんの判定基準に準じました。治療の効果判定は、完全奏効(CR):がんが消えた、部分奏効(PR):がんが小さくなった、安定(SD):変わらない、進行(PD):がんが悪くなった、の4つに分けられます。

標準抗がん剤治療では4週間の治療効果の持続を「効果あり」としているので、がん休眠療法の場合も継続する治療の中で4週間以上CR、PR、SDといった疾患制御が持続した場合を治療効果ありと判定しました。がん種でバラツキはあるものの休眠療法施行症例全体で疾患制御率は(CR+PR+SD:がんが消えた+小さくなった+変わらない)は54%(60例/112例)と、2人に1人の割合で疾患制御を認めました。
参考までに奏功率(CR+PR:がんが消えた+小さくなった)は11%(12例/112例)でした。

当院の疾患制御期間や生存曲線などの解析データも持ち合わせていますが、必要以上に数字は見たくない患者さんもおられますので、ホームページ上での公表は控えさせていただきます。
当院受診された患者さんやご家族で、さらに踏み込んだ数字を知りたいと希望される方にのみ呈示しています。

がん休眠療法の副作用


がん休眠療法の副作用です。
副作用の判定は、米国国立がん研究所(National cancer institute)がつくった判定基準を用います。
CTC(Common Toxicity Criteria )グレードと言われ、全身症状、消化器症状、白血球数などの各項目の副作用(有害事象)について、判定しやすいように以下のように0から5までの段階評価(grading)を行います。


グレード0 : 正常、正常/基準値範囲内、なし
グレード1 : 軽症/軽度の有害事象
グレード2 : 中等症/中等度の有害事象
グレード3 : 重症/高度の有害事象
グレード4 : 生命を脅かす又は活動不能にいたる有害事象
グレード5 : 有害事象による死亡(因果関係あり)
 

当院で行っている休眠療法では、殆どがCTC(Common Toxicity Criteria )グレード0〜1です。
具体的に休眠療法で多い副作用として吐き気等の消化器症状があります。抗がん剤投与後2、3日目に見られます。しかしながら、ちょっとムカムカする程度が多く、軽い制吐剤を服用するか、場合によってはそのまま放置している方も少なくありません。少なくとも、吐き気止めは必需品とされる標準抗がん剤治療の副作用を経験した方に言わせると、吐き気はあったとしても“全然楽チン”だそうです。

使用抗がん剤によっては便秘なども比較的よく経験しますが、頑固な便秘になることは無く、緩下剤等で対処可能です。良く患者さんが気にされる“脱毛”も殆ど認めません。使用抗がん剤によってパラパラと抜けることはありますが、抜け止まります。骨髄抑制も起こった(というより骨髄抑制を起こさないように投与量をコントロールしている)としても、軽いことが多く、G-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)という白血球を増やす薬剤の使用頻度は、標準抗がん剤治療に比べるとはるかに少なくなります。投与抗がん剤量が少ないため、総じてがん休眠療法では、副作用は無いかあっても軽いので対応しやすいのが特徴です。