「温熱療法ってどうなんですか?」
と患者さんから聞かれることがありますので、現在の温熱療法について簡単に紹介します。
“がん細胞”が正常細胞にくらべて熱に弱いというのは事実ですが、実際温熱だけでがんを制御できることはまずありません。現在の温熱療法は、温熱のもつ附随した効果に着目した補助療法として考えるのが一般的です。
温熱療法の作用として以下の3点が上げられます。
- 放射線感受性の増進
- 抗がん剤感受性の増進
- 免疫活性の賦活化
一般的には放射線治療や抗癌剤治療と組み合わせるのが一般的です。転移性肝腫瘍に対して、肝動脈塞栓術と併用している施設などもあります。また、温熱には免疫賦活化作用もあるため、温泉など含めた身体を暖めるという行為は広義の免疫療法と考えています。
さて、がん治療における、温熱療法は局所・領域温熱療法と全身温熱療法に分類されます。現在保険適応があるのは局所・領域加温のみで、山本ビニター社のサーモトロンRF-8を導入・使用されている施設がほとんどです。保険点数は“一連で”深部加温では9000点(9万円)、浅部加温では6000点(6万円)となっています。ここで“一連”というのは、連続した治療の中で、何回やっても病院の収入は変わらないということです。
例えば、深部加温10回やっても1回だけでも病院収入は同じなのです。ですから、加温何回まで保険でやれます、後は一回につき自費でいくらという形で治療を提供している施設が多いようです。4回までの加温は保険診療で、あとは自費診療でといった具合です。自費加温の料金は1回あたり5,000円から 30,000円台、医療機関によって差があります。
一般に地方(特に西日本)ほど自費診療の部分は安い傾向にあるようです。中には、お金を取らず、病院の持ち出しでボランティアのような形で提供している仏様のような医療施設もあるみたいですが。
温熱療法は、3ヶ月間を空けることによって、また初診扱いとすることができるため、3ヶ月経ったら再度保険診療で行うといった形で利用するのも手です。例えば4回までを保険診療適応とし、週に1回温熱を受けるとすると、1ヶ月(4週間、4回分)は保険診療となりますが、残りの2ヶ月(8週間、8回分)は自費となります。自費診療で一回2万円とすると、月に8万円かかる計算になります。3ヶ月毎に保険診療の部分だけ、1ヶ月使用している患者さんも居られます。自費診療部分は、お金の絡む話なので、そこは自由に御自分でアレンジするといいでしょう。
全身温熱療法には保険適応はなく、現在のところ自費診療となっています。全身温熱療法は遠赤外線により深部体温を高くするという仕組みです。治療のコンセプトは温熱を全身治療として用いようというモノですが、詳しい内容・効果・治療費用などについては、施行施設に直接連絡をとり説明をお聞きなるといいでしょう。
また、中国で全身温熱療法の医療機器の開発が進められているようで、臨床研究も始まったとも聞いています。こちらは今後の研究成果の報告を待ちたいと思います。
