セカンドオピニオンは、患者さんの自身の命のため、患者さん自身の人生のために、御自分の疾患に対しての理解を深め、納得した治療法を選択するための行程で行うものです。ですから、セカンドオピニオンを切り出すベストなタイミングは、まず最初の治療方針を聞いた後、つまり治療が開始される前です。治療方針の説明の流れの中で、入院日や治療開始予定日が具体的に呈示されることもありますが、それはそれで構いません。
「もう少し、待って下さい。」
のひと言で、後からなんとでもなります。
しかしながら、実際に治療に入ってしまうと、場合によっては治療方針の方向転換や変更が難しくなることがあります。治療というのは、走り始めるとなかなか方向転換や止まることが難しいのです。また、入院してしまってからは、なかなかセカンドオピニオンを求めにくくもなり、他院への転院や退院もしづらくなります。だから、まだ足を自由にいろんな所に向けて出かけることのできる、最初の治療説明の直後から、が理想なのです。
担当医からの、治療方針の説明は一般的に確定診断(がんであることが確実であること)と病期診断(がんの広がりの状態)が確定してから行われるのが普通です。ですから、治療方針決定に必要な検査は1つの施設ですべて行うことを薦めます。
検査をあちこちの施設で行うと、同じ検査を繰り返し受けるようになったり、何度も初診料を払ったりといった、肉体的・時間的・経済的負担が増えることになるので、1つの施設で一通りの検査をすませて、それらの結果全てを借りて、セカンドオピニオンを聴きに出向くとそれらの負担が少なくなります。
セカンドオピニオンのタイミングの理想は治療が始まる前と述べましたが、もう一つのタイミングは現行の治療に対して不安・疑問が生じたときです。例えば、抗ガン剤治療を始めてはみたものの自分の予想よりも副作用がきつく他の方法論、手段がないものかと思い始めたとき、また、始めた治療が期待していたよりも効果が得られなかった場合など状況は様々でしょうが、つまり、現行の治療に対して疑問・不安が生じたときも遠慮なくセカンドオピニオンを求めにいくべきです。
大腸がんの転移性肝腫瘍の患者さんがおられました。大腸がんを切除した後、何度も転移性肝腫瘍に対して開腹肝切除を繰り返しています。最初の頃は、
「肝臓に転移したのなら、その部分はちゃんと取って貰わないと。だって、“がん”だからね。」
と開腹手術を受けていました。しかし、切除しても切除しても、またすぐに肝転移巣は出てくる。その度に、開腹手術。
「自分は何回、手術を受けたらいいのだろう?正直、イヤになってきた。」
と、現状の治療方針に疑問・不安をもたれたその方は主治医に聞きました。
「先生、私はあと何回手術をしたらいいのですか?」
担当医の返事は、
「取れるまで取ります。取れなくなったら、その時手術はもうおしまいです。」
というものでした。
「まだ、続くんだ・・」
手術はもういい加減に何とかならないかと思っていたところだったので落胆はしましたが、いままで、自分のためにやってくれた先生だからという想いからか、セカンドオピニオンを求めることをされませんでした。
前述した患者さんのような、主治医への気兼ねは基本的には無用なのですが、確かに、目の前の担当医は、自分のために一生懸命になって今、治療をしてくれた、あるいはしてくれている。いまさら、他の医者の意見を聞きたいと申し出たら、気を悪くするかもしれないとなど、なかなか言い出しにくいこともあるかもしれません。
それでも、自分の命・生き方に関わることですから遠慮はいりません。セカンドオピニオンは積極的に求めるべきです。この患者さんのように、大腸癌の肝臓転移の場合、ラジオ波焼灼術、動注療法、血管内治療など他の方法論も選択でき得たかもしれません。
求めた、セカンドオピニオンを実際にどのように活用していくかは次の問題です。理想は患者さんご本人が動かれることですが、入院中であったり、病状が思わしくないなど、諸処の理由で患者さん本人の動きが取れないときは、ご家族の方が代わりにセカンドオピニオンを求めに行かれてもいいでしょう。
