がん休眠療法(少量(低用量)抗がん剤治療)
元国際医療福祉大学教授の高橋豊教授により提唱された抗がん剤治療方法です。標準抗がん剤治療よりも使用する抗がん剤の量が少ないため、治療に継続性があることや、副作用をほとんど認めないことが特徴です。
当院の少量抗がん剤治療の土台である「微小循環理論」が抗癌剤の選択方法として特許を取得しました
血液がんの休眠療法は行っておりません
「少量抗がん剤治療」は副作用が極力出ないように、通常よりも少ない量の抗がん剤を、休薬期間なしに一定間隔でくり返しおこない、がんの制御を試みる治療法です。
「がんが大きくならないよう、からだにやさしい治療を継続し、がんと共存しながら長生きを目指しましょう」というコンセプトです。
- 注1:低用量抗がん剤治療、がん休眠療法、メトロノミック化学療法、緩和的抗がん剤治療といった治療と同じコンセプトの治療です。
- 注2:当院は、当院独自の考え方に基づいた少量抗がん剤治療を実践しております。
著書「少量抗がん剤治療−“がんを生きる”ためのもう一つの抗がん剤治療−:東京図書出版」を参照ください。 - 注3:薬剤の投与間隔は1~3週間と個々の患者様の病態・使用薬剤により様々です。
治療開始前に医師により使用薬剤の詳細な説明があります。 - 注4:標準治療から外れる治療法は自由診療となりますのでご了承下さい。
対象
固形がん全般(血液がん(白血病、悪性リンパ腫等)は対象外になります)
<実症例>
頭頸部がん(舌がん・喉頭がん・咽頭がん)・肺がん・乳がん・胸腺がん・甲状腺がん・食道がん・胃がん・十二指腸乳頭部がん・膵臓がん・肝細胞がん・胆嚢がん・胆管がん・腹膜がん・前立腺がん・膀胱がん・尿管がん・腎盂がん・尿膜管がん・大腸がん・直腸がん・虫垂がん・子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん・肉腫各種(GIST・脂肪肉腫・平滑肉腫・MFH等)・原発不明がん 他
<背景>
- 標準治療を行っていたが、もう治療はありませんと言われた方
- 副作用が強く標準治療が継続出来なかった方
- 高齢や併存疾患があるため、標準治療が出来なかった方
- 辛い治療を望まない方
- QOL重視の生き方をしたい方 など
治療効果
当院の少量抗がん剤治療は、奏効率=約10%、疾患制御率=約60%です。
治療効果の判定は、
- 完全寛解(消えた)
- 部分奏功(小さくなった)
- 安定(変化なし)
- 進行(大きくなった)
の4つに分けられます。
「消えた」と「小さくなった」をあわせた「奏効率」が一般的な抗がん剤の治療効果の指標はとして使用されますが、少量抗がん剤治療は、がんと引き分けて共存することを目標とした治療ですので、「消えた」「小さくなった」に「変化なし」を加えた「疾患制御率」を治療効果の指標とします。
(第54回日本癌治療学会学術集会:2016年10月;横浜より)
治療費について
標準療法のみを行う方は保険診療にて行なえます。それ以外の方は自費診療になります。
保険診療の場合、使用薬剤や治療効果がかなり限定されることをご了承ください。
自費診療での治療費はおおよその目安は、月あたり8万円〜25万円ほどになります。(※診察料、採血検査費用、治療管理費用を含みます)
個々人によって体重、身長、身体状態、がん種は異なります。
そのため、治療内容、使用薬剤量が異なりますので治療費用も幅がございますことをご理解下さい。
詳細は、初回のがん相談のときにお話させていただきます。
使用する抗がん剤
投与間隔・使用量・副作用については診察時に対面にて説明します。
- アルキル化剤
シクロフォスファミド・イホスファミド・ニムスチン・ダカルバジン
プロカルバジン塩酸塩・テモゾロミド - 代謝拮抗剤
メトトレキセート・ペメトレキセド・フルオロウラシル・カペシタビン・TS1
ゲムシタビン・シタラビン - 抗生物質
ドキソルビシン・エピルビシン・アムルビシン・マイトマイシンC
ブレオマイシン - 微小管阻害剤
ビンクリスチン・ビンブラスチン・ビノレルビン・パクリタキセル
ドセタキセル・ナブパクリタキセル・エルブリン - 白金製剤
シスプラチン・カルボプラチン・ネダプラチン・オキサリプラチン - トポイソメラーゼI阻害剤
イリノテカン - トポイソメラーゼII阻害剤
エトポシド - 非特異的免疫賦活剤
ウベニメクス - 分子標的薬
ベバシズマブ・ラムシルマブ・トラスツズマブ・ゲフィチニブ・エルロチニブ
セツキシマブ・エベロリムス・スニチニブ・レゴラフェニブ・パゾパニブ
レンバチニブ 等
よくある質問
Q1.標準抗がん剤治療と、少量抗がん剤治療の違いは何ですか?
標準抗がん剤治療が少しでも多くのがん細胞を殺すことを目的としているのに対して、少量抗がん剤治療は、がん細胞をたくさん殺すことばかり考えず、がんと巧くお付き合いして長生きしよう、ということを目的とします。
イメージとしては、標準抗がん剤治療がコップ酒一杯の一気飲みに似ているのに対して、少量抗がん剤治療は、おちょこで少しずつ、お酒に対する身体の反応を観察しながら、自分の身体をいたわりながら飲みましょう、という感じになります。
Q2.少量抗がん剤治療に副作用はないのですか?
抗癌剤治療の副作用の判定は、一般に米国国立がん研究所(NCI:National cancer institute)の判定基準を用います。
CTC(Common Toxicity Criteria )グレードと言われ、全身症状、消化器症状、白血球数、その他の各項目の副作用(有害事象)について判定しやすいように以下のように0から5までの段階評価(grading)が行われています。
グレード0 | 正常、正常/基準値範囲内、なし |
---|---|
グレード1 | 軽症/軽度の有害事象 |
グレード2 | 中等症/中等度の有害事象 |
グレード3 | 重症/高度の有害事象 |
グレード4 | 生命を脅かす又は活動不能にいたる有害事象 |
グレード5 | 有害事象による死亡(因果関係あり) |
がん休眠療法で生じる副作用の殆どはグレード0-1ですので、患者さんの身体にやさしい治療となります。
副作用の内容については、当院での治療を始める時に、患者様に詳細をお伝えすることにしています。
Q3.治療するにあたっての条件はありますか?
基本的には、自ら治療希望の意志があることと、当院まで通院できる体力があれば、治療可能と考えています。
少量抗がん剤治療の相談・予約は03-3562-7773
Q4. 急に体調が悪くなってしまった場合は?
当院では、急な体調変化に対応するため、ご自宅近くの医療機関とダブル主治医制で診療にあたっています。(緩和ケア科や在宅診療との併診が多いです。地元主治医の確保が難しい場合は治療導入できません。)
また、当院の治療患者さんには医師の携帯電話番号をお伝えしており、有事に連絡をいただく体制になっております。
Q5.実際の通院例を教えてください
外来通院によるがん治療のため、日常生活への影響を抑えつつ治療が可能です。
★午前中に来院
- 10時~来院
- 治療前の体調確認 → 診察、抗がん剤治療
- お昼前に治療終了
(半日で済むので楽~~
仕事の半休、お子さんが学校に行ってる間に・・と言う方などにも好評)
★昼頃来院
- 昼前後に来院(朝の混雑が避けられる・・遠方からの通院に好評)
- 治療前の体調確認 → 診察、抗がん剤治療
(点滴ブース内で、サンドイッチなどの軽食を摂りながら・・もOK) - 治療終了
(夕方の混雑を避けて帰れるので安心・・)
★午後に来院
- 15時までに来院(日中時間が有効に使えるので、仕事をしながらの方にも好評)
- 治療前の体調確認→診察、抗がん剤治療
- 治療終了
(会社帰りの家族がお迎えに来る方も・・)
★予定が読みにくい方
- 前日(場合によっては当日)予約も可能です。
(手持ちの薬が不足にならないようにお気をつけください)
★他の治療と併用したい方
- 他院で「免疫療法」「温熱療法」その他代替療法を行っている方は、内容を聞かせていただき当院治療スケジュールを調整いたします。
- 新しく他院の治療を受けたい場合、必要に応じて紹介状を書くことも可能です。
★いったん他の治療を受けたけど、また戻りたい方
- 受け入れ可能です
実際、一度当院の治療を離れてから、再度治療を受けに来られる方も一定数いらっしゃいます。患者様の自由意思を尊重します。
治療を受けるには?
がん休眠療法(少量抗がん剤治療)を希望される患者さんへの詳細な説明は、医師との初回面談(セカンドオピニオン)にて行います。
当院でのセカンドオピニオンについてはこちらから
少量抗がん剤治療のご相談は03-3562-7773
医療コーディネーター岡田まで
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