連載「がんの休眠療法」第5回 がん治療における最強タッグ・脳外科医との連携|東京都中央区銀座並木通りクリニックは内科・外科・呼吸器科の一般診療とがんの外来治療(腫瘍内科・緩和ケア内科)中心のクリニックです

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連載「がんの休眠療法」第5回
がん治療における最強タッグ・脳外科医との連携

今回は、転移性脳腫瘍についてのお話です。転移性脳腫瘍とは、身体の他の場所にできたがんが脳に転移したもので、肺がん、乳がん、消化器がんといったがんからの転移を多く経験します。
10年前は正直、「脳転移=死」でした。

「脳」という臓器は感覚的・印象的インパクトがあるためか、患者さんも頭に転移があると聞くだけで、「もう、ダメだ……」と思われるようです。

そうしたなか、最近素晴らしい治療法が開発されています。ガンマナイフです。ガンマナイフとは、放射線(ガンマ線)の細かいビームを虫めがねの焦点のように病巣部にのみ照射する治療法です。「まるでガンマ線のメス(ナイフ)のようだ」ということからガンマナイフと命名されたとか。

開頭手術をせずに脳血管障害や脳腫瘍、転移性脳腫瘍をまるでナイフで切り取るかのごとく脳病変を治癒・コントロールせしめる治療法で、脳外科医師が中心に行っています(今回、私の治療連携医師がガンマナイフ施行医のためガンマナイフを中心とした文面になりますが、サイバーナイフやX線ナイフも同様にピンポイントで腫瘍を叩くコンセプトの治療です)。

脳外科医との邂逅

さて、ある日のこと、都内某大学の脳外科のA医師とB医師と会食の機会があり、その席上で転移性脳腫瘍の治療の話になりました。A医師はガンマナイフ治療医です。

「ぶっちゃけ、ガンマナイフでの転移性脳腫瘍制御率はどのくらいなのですか?」と私。
「脳転移の患者さんの90%は、頭が原因では死ぬことはなくなりました」とA医師。

横で話を聞いていた、もう1人のB医師も、
「そうそう……ホントにそういう時代になったよね」と相づちを打ちます。

「へぇー……、90%……」と心の中で感心します。私の勉強不足です。
転移性脳腫瘍の制御率がそんなに高いとは思っていませんでした。初耳&耳学問です。

「でも、ガンマナイフには適応条件があったと思いますが……。
確か、腫瘍径3cm以下、3個以内といわれていたと思いますが……」

私は癌研時代、呼吸器外科グループに所属していました。肺がんは脳転移が少なくなく、当時の呼吸器外科・呼吸器内科・放射線科合同カンファレンスでガンマナイフの適応はそのように言われていたのを思い出してお聞きしました。当時、その適応以外の患者さんは、ガンマナイフではなく全脳照射という頭全体に放射線をかける治療に振り分けられていました。

「あぁ、あれはガンマナイフが導入されたばかりのとき、需要に対して供給が追いつかなかった(つまり患者さんが多すぎるということ)ため、そういう縛りをつくらないと、ガンマナイフの治療現場がパンクして回らなかった。だから、適応条件で患者さんが篩(ふるい)にかけられたのです。篩にかけられ、ガンマナイフ治療が受けられない患者さんたちを当時、“ガンマナイフ難民”と呼んだのですよ」

首から上と首から下のコラボレーション

ここでも、難民です。日本の医療界にはいろんな難民があります。今は、ガンマナイフ施設が増えてきたこともあり、状況はかなり解消されているとのこと(ただし、全脳照射とガンマナイフの比較検討や、施設間での技量格差の存在は今後の課題だとか)。

「では、最近の脳転移に対するガンマナイフの適応はどうなっているのですか?」と私。

「脳転移が多発していても、そのなかのどの病巣が臨床的に悪さをしてくるかということを考え、悪さをするヤツを中心にガンマナイフで叩けばいいわけです。ですから、必ずしも病巣すべてに照射する必要はないのです。ケースバイケースですが、転移巣の数はあまり問題になりません。

つまり3個以上あってもOKです。照射後の脳浮腫(脳のむくみ)の問題があるので、腫瘍径はやはり3cm以内になります。3cm以上になると腫瘍が大きいことで症状を悪化させたりするので、可能なら摘出手術を行って脳を落ち着かせてからガンマナイフ、または全脳照射を考えることが勧められています」

心の中で、「スゴイ」と唸っちゃいました。
つまり、「脳転移はあってもいいじゃん、悪さをしなければ……」デス。
「がんはあってもいいじゃん、引き分けなら」という休眠療法のコンセプトに似ています。

そこで、思考(おつむ)が回転します。

「ナンダ、首から上は全面的に頭のプロに任せて、首から下はオレが責任持ってやりゃーいいじゃん。治療・経過観察も含めて、首から上と首から下は完全分業。それが、患者さんにとってのベストコラボレーションだ!」

逆に脳外科の先生は首から上は得意でも、首から下になるとちょっと苦手……ちょうど私と反対です。実際、「先日、肺がんの脳転移に対してガンマナイフ治療を行った患者さんだけど、もともとの肺がんの治療のことで悩んでいるみたい……。首から下の話だから相談に乗ってくれないか?」と患者さんの紹介を受けたりします。

進行がん、再発がんにおいては、頭と躯幹を押さえていればほとんどの病態に対応できるわけですから、お互いがガチンコに手を結べば、弱点・足らない部分が補填できることになり、患者さんにとってこれ以上はないといっていい最強タッグが形成されるのです。

このステキな関係を大いに活用してください

首から上は任せる。首から下は任せろ――。

最近、転移性脳腫瘍の患者さんは、「最高の先生を紹介するから、心配いらないよ」と、自信を持ってA医師に完全マル投げです。がん治療における医師同士の連携はとても大切です。治療を進めるうえで、自分の不得手分野を知ったかぶりする必要はありません。そんなコトしたら、患者さんがかわいそうです。医者は己の限界を知る。しかし、足らないところは補填の方法論を用意する。あるいは補填できるように考える。がん治療はいろんな複合要素を含みます。1人の医師でできることはたかがしれていると感じることが少なくありません。

そういったなかで、首から上を全面的に預けられる脳外科医が身近にいることは、とても心強いのです。私は、首から下にだけ意識を集中すればいいわけですから。

現在、私の患者さんでA医師をはじめとした脳外科医とのタッグの恩恵を受けている患者さんはたくさんいます。私からは、「首から上はお願いしま~す。首から下は私がやりますから」。そして、A医師からは、「じゃあ、首から下はヨロシク~、首から上はこっちでキッチリやりますから」。

しばらくして、治療を頼んだ患者さんの件で連絡が入ります。

「頭のほうはキッチリやっときましたから」

“キッチリ”なんて頼もしい響きでしょう?

どうです?医師同士のステキな関係でしょう?

患者さんは、このステキな関係を大いに活用してください。

月刊誌「統合医療でがんに克つ2008.11vol.5」より

月刊誌「統合医療でがんに克つ」連載 がんの休眠療法

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